
朝方になれば
君は笑って
夜の終わりを食べ尽くした
いつだって足りない言葉をのみこんで
目にしたものは
歩道橋の下に灯る街灯の薄明かり
たとえば
不安な心ともどかしい思い
隠そうとすればするほど
世界がぼくらの手のなかから遠のいてゆく
夜空の星
前方を照らすヘッドライト
白い息にくもる窓硝子
ラジオから流れてくるうすっぺらな言葉とメロディ
一瞬、生に向き合う孤独の火花が弾けて消える
夜と朝の隙間に打ち付けられたぼくらと世界を結ぶ小さな楔
パトカーのサイレン
フロント硝子に付着した虫の死骸
点滅する信号機
忘れていた心臓の音
ひとり
思い出す
ひとり
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