きみがわすれてしまったこと
きみがわすれてしまったこと
あたりまえの日々や
守れなかった約束
幼い日の騒がしい食卓や
弟の好きだったタオルケットの匂い
きみがいなくなってしまった日のことや
きみが思い出を忘れてしまった日のこと
あの日ついた溜息の数や
孤独と呼ばれる残酷に歯ぎしりした夜
地平線の端に小さく見える帆船や
海風にさらされ錆び付いた欄干
眠れないほど人を思った日の朝露や
午前零時、砂時計に潜む秘密の声
大雨の中を走る車の滲んだテールランプや
パンクした自転車の轍
思い出という名の苦い敗北や
涙を浮かべた灯台の光
真夜中に観たつまらない映画や
もう二度としないと誓ったこと
特急電車が夏を走り抜ける轟音や
きみがついた見え透いた嘘
テレビの中で繰り広げられる争いや
春の陽射しに包まれた穏やかな午後
親しかった友達の頬の傷や
夜の交差点で呼んだ名前
夕暮れ、地面に伸びる長い影や
迷い込んだ路地に怪しく光る黒猫の目
突然の通り雨に濡れた白いTシャツや
ビルの大硝子に反射して美しく揺れる街灯ネオン
きみが地下鉄の駅に消えていった帰り道や
真夏のベンチ、ひとり腰掛けたままじっと動かない少年の影
見上げた空にぽっかりと浮かぶ入道雲や
防波堤に色づく波形の青や
夕立のあとの真っ赤な夕日や
大きな木の下の雨宿り
きみがわすれてしまったこと
生温い風の中
雨粒の跳ねる水たまりに確かに見えた世界
それはショーウィンドウのようにきらきらとひかり
ゆらりゆらりと不規則にゆれながらきみの姿をいびつに映し込む
きみがわすれてしまったこと
そのすべてがきみの今を形作ってきたことを
きみは知っている
あたりまえの日々や
守れなかった約束
幼い日の騒がしい食卓や
弟の好きだったタオルケットの匂い
きみがいなくなってしまった日のことや
きみが思い出を忘れてしまった日のこと
あの日ついた溜息の数や
孤独と呼ばれる残酷に歯ぎしりした夜
地平線の端に小さく見える帆船や
海風にさらされ錆び付いた欄干
眠れないほど人を思った日の朝露や
午前零時、砂時計に潜む秘密の声
大雨の中を走る車の滲んだテールランプや
パンクした自転車の轍
思い出という名の苦い敗北や
涙を浮かべた灯台の光
真夜中に観たつまらない映画や
もう二度としないと誓ったこと
特急電車が夏を走り抜ける轟音や
きみがついた見え透いた嘘
テレビの中で繰り広げられる争いや
春の陽射しに包まれた穏やかな午後
親しかった友達の頬の傷や
夜の交差点で呼んだ名前
夕暮れ、地面に伸びる長い影や
迷い込んだ路地に怪しく光る黒猫の目
突然の通り雨に濡れた白いTシャツや
ビルの大硝子に反射して美しく揺れる街灯ネオン
きみが地下鉄の駅に消えていった帰り道や
真夏のベンチ、ひとり腰掛けたままじっと動かない少年の影
見上げた空にぽっかりと浮かぶ入道雲や
防波堤に色づく波形の青や
夕立のあとの真っ赤な夕日や
大きな木の下の雨宿り
きみがわすれてしまったこと
生温い風の中
雨粒の跳ねる水たまりに確かに見えた世界
それはショーウィンドウのようにきらきらとひかり
ゆらりゆらりと不規則にゆれながらきみの姿をいびつに映し込む
きみがわすれてしまったこと
そのすべてがきみの今を形作ってきたことを
きみは知っている
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